シナリオデータ
プレイヤー:3-4人
達成値上限:21
プレイ時間:3-4時間
このシナリオは、20〜30点程の経験点を使用したキャストでプレイする
ことを想定してシナリオが組まれています。
プレイする環境に応じて、必要なデータを調整してご利用ください。
ストーリー概要
――ディック=ニコラウス、岡崎 一真、シエラ=カルティット。
彼らは刑事であり、同期の仲間であり、最高の相棒であった。
シノハラセキュリティーサービス、通称SSSでも彼らの実力は非常に
高く、ブラックハウンドにも劣らぬとも言われていた。
だが、彼らの関係は、ある日唐突に終わりを迎えた。
所詮はSSS。千早の下請け。無能者の集まり。
これが、SSSに対する世間の評価。
この評価が、岡崎 一真の中で大きな劣等感となっていったのだ。
彼はSSSを変えようと考えた。
無能などと呼ばれることのない、優秀な組織へと。
だが、そのとき、彼の前に相棒たちが大きな壁として立ち塞がった。
自らと同じ、いや、それ以上に優秀な刑事であり、異なる考え方を持つ
相棒たちは、岡崎 一真にとって、障害以外の何者でもなかった。
――自分ひとりでも頑張れば、SSSはきっと変わるはずだ。
それが、相棒たちの意見。
――組織そのものが変わらなければ、SSSは変わらない。
それが、岡崎の意見。
決して相容れない考え――。
岡崎は決断した。最大の障害を、排除することを。
今から5年前。3人が出動した最後の事件。
この事件は、2人の死傷者と、1人の逮捕者を出すこととなった。
犯人を追い詰めた、そのとき。
岡崎は犯人もろとも、相棒を撃ち抜いたのだ。
このときの傷が元で、シエラと犯人は死亡。ディックは奇跡的に一命を
取り留めるが、岡崎の部下によって記憶を操作されることとなった。
ディックは同僚殺しの罪を問われて逮捕。
最大の障害を排除することに成功した岡崎は、出世の道を歩みだす。
これが、5年前の事件の全てであり、表沙汰になるハズはなかった。
――表沙汰になることはない、ハズだったのだ。
つい先日。
SSS系列の刑務所にて行われた健康診断において、ディックの心臓
付近に銃弾が発見された。
そう、岡崎がその命を奪うために放った弾丸である。
弾丸の摘出手術が新星帝都大学病院で行われることを聞いた岡崎は、
ことが明るみになることを恐れ、ディックを移送する護送車を襲撃。
だが、すんでのところでディックは逃走。
ただちに、トーキョーN◎VAに、凶悪犯の逃亡が報じられることとなった。
刑事部長の岡崎に命じられて、"凶悪犯"を追う、SSSの『イヌ』。
家族を案じるディックに依頼され、娘のエミリーを護衛する『カブト』。
かつて、シエラからあとを託された医者の『タタラ』。
同じ刑事である樫本から、SSSに捜査協力を求められた『イヌ』。
互いの信念が相対したとき、先に砕けるのは果たしてどちらなのか?
ディックの罪を晴らし、岡崎を逮捕することで、このアクトは終了する。
プレアクト
アクトトレーラー
彼らは、よき仲間であった。
これまで、多くの事件を解決してきたのだから。
彼らは、よき友であった。
これまで、多くの時を過ごしてきたのだから。
彼らは、最高の相棒だった。
これまで、力を合わせればできないことなどなかったのだから。
――それはもう過ぎ去ってしまった遠い過去。
――彼らの道が交わることは、もう二度とないのだから。
トーキョーN◎VA The Detonation
Their Belief ―それぞれの信じる道―
運命の扉、その先に続く道、それは――。
推奨スタイル
PC1:『イヌ1』……SSSの刑事。BHなどでもシナリオ上は問題ない
PC2:『カブト』……ボディーガード
PC3:『タタラ』……医者。5年以上前から医者である必要がある
PC4:『イヌ2』……刑事。所属は特に問わない
シナリオハンドアウト
PC1:推奨スタイル:『イヌ』
コネクション:岡崎 一真[オカザキ カズマ] 推奨スート:ダイヤ
キミはSSSに所属する刑事であり、日夜、犯罪を追い続けている。
そんなある日。キミは上司である刑事部部長、岡崎一真警部に呼ばれ、
彼の執務室へと足を運んだ。
キミが与えられた任務。
それは、警官を殺害し逃走中の囚人の捕縛というものだった。
――これが、SSSを大きく揺るがすような大事件になるとは、このときの
キミには、まだ知る由も無かった。
PC2:推奨スタイル:『カブト』
コネクション:ディーン 推奨スート:スペード
それは、実に奇妙な依頼だった。
ある日、凄腕のボディーガードであるキミの元へ舞い込んだ依頼。
身元も不明、目的も不明。ポケットロン越しに、短く用件だけ告げ、
その依頼と呼べるかどうかも怪しい通信は切れてしまった。
……だが、その人物の声からは、危機に瀕した人物特有の気配を
感じたのも、事実だ。
この依頼、受けない訳にもいかないだろう。
PC3:推奨スタイル:『タタラ』
コネクション:シエラ=カルティット 推奨スート:クラブ
キミは優秀な医者であり、人の命を救うことを生業としている。
だがそれは、同じくらい、多くの死にも携わってきたということなのだ。
5年前のあの日。キミの元に担ぎ込まれてきたのは、友人でもある
刑事のシエラだった。
彼女が息を引き取る直前、キミは1つの頼まれごとを受けたのだった。
――あれから5年。どうやら、彼女との約束を果たすときが来たようだ。
PC4:推奨スタイル:『イヌ』
コネクション:樫本 雄峰 [カシモト ユウホウ] 推奨スート:ダイヤ
キミは優秀な刑事であり、日夜、犯罪を追い続けている。
そんなある日。
キミはようやく捜査していた事件を片付け、短い休息を楽しんでいた。
そんな折、キミの元へ同じ刑事である、樫本雄峰警部補が訪ねてきた。
なんでも、SSSの捜査に協力してもらいたいそうだ。
どうやら、正義の番人たるイヌには、休息のときは無いらしい。
推奨防御神業
ゲストの必殺神業だけで、キャストが死亡してしまうのを防ぐために、
キャスト全員で1個以上の防御系神業が必要。(『難攻不落』含む)
ただし、さらに1個以上の防御系神業があれば、友好的なゲストが
死亡するのを防ぐことが可能となる。
キャスト間コネクション
イヌ1 → カブト → イヌ2 → タタラ → イヌ1
補足事項
プレイヤー人数が3人のときは、『イヌ2』を外してプレイすること。
また、『イヌ1』、及び『カブト』を外してプレイするのは推奨できない。
(『タタラ』に関しては、一部神業で代用できなくもない)
オープニングフェイズ
●『イヌ2』:世に悪は絶えぬ
登場:場所による
◆解説
『イヌ2』の元にSSSの刑事、樫本雄峰警部補がやってくる。
そして、SSSに捜査の協力を求めてくる。
『イヌ2』が協力の要請を受けたら、結末へ。
◆演出
キミが久々の休日を満喫していると、そこに一人の男が現れる。
キミと同じイヌである、樫本雄峰刑事だ。
◆セリフ
▼樫本雄峰
「お久しぶりですね、『イヌ2』さん。調子はどうですか?」
「実は、あなたにお願いがあって来たんです」
「今、SSSではある事件の捜査に入ろうとしているんです」
「それで、その事件の捜査に協力して欲しいのです」
「この事件は、SSSが担当することになっています。
でも、今のままだと人手が足りないんです」
「私は優秀な刑事なんて、あなたくらいしか知らないですし」
「すみませんが、捜査に協力してもらえませんか?」
◆結末
「ありがとうございます。岡崎刑事部長から、詳しい話があります。
SSS本部まで、来ていただけますか?」
樫本はそう言って、外に停めてあるパトカーを示す。
……キミの休暇は、どうやらこれで終わりのようだ。
◆シーンの目的
- 『イヌ2』に捜査の協力を求める
- 樫本雄峰警部補の顔見せを行う
●『カブト』:Who are you?
登場:場所による
◆解説
『カブト』のポケットロンに、謎の非通知通話が舞い込んでくる。
相手は挨拶もそこそこに用件を告げてくる。
『カブト』が依頼を受けたら、1プラチナム(10報酬点)を渡し、結末へ。
◆演出
キミのポケットロンから、呼び出し音が鳴り響いている。
ポケットロンを取ると、その受話口の向こうからは、サイレンの音や
人間の怒号に混じって、かすかに銃声のようなものも聞こえてくる。
そして、通話相手がやや緊張した声音で告げる。
セリフ
▼ディーン
「あんたが『カブト』っていう、凄腕のボディーガードだな?」
「俺はディーン。あんたに護衛の依頼をお願いしたい」
「エミリーって少女を護衛して欲しい。あんたを凄腕と見込んでの
ことなんだ」
「報酬はすでに口座のほうに振り込んである。……頼んだぜ」
◆結末
要件だけ告げると、その通話は切れてしまった。
依頼人の素性も分からないし、そもそも護衛対象も分からない。
そして、あなたの口座には、1プラチナムもの大金が放り込まれていた。
……どうやら、随分と風変わりな仕事のようだ。
◆シーンの目的
- 『カブト』に護衛の仕事を依頼する
- ディーン、及びエミリーという人物に興味を持ってもらう
●『イヌ1』:"凶悪犯"の逃亡
登場:<社会:N◎VA、警察、企業>10、『イヌ2』は自動登場
ただし、演出1は他のキャストの登場不可
◆解説
『イヌ1』が捜査を命じられる。
所属がSSSの場合、演出2から行う。
BHなどの場合は演出1の回想シーンを先に行う。
なお、演出1はBH機動捜査課を想定している。
◆演出1
犯罪者たちが、唯一恐れる黄金の猟犬の巣、BH基地。
そして、キミは今、BH機動捜査課のオフィスで、千早冴子警部の
前に立っている。
冴子警部はある程度話したところで、1枚の通達書を取り出す。
それはN◎VAセニットが発行した、捜査権限をSSSに一任するという
書類だ。
《買収》を宣言。
『イヌ1』が任務を受けたら、演出2へ。
セリフ1
▼千早冴子
「よく来てくれたわね、『イヌ1』くん」
「今日、来てもらったのは他でもないの。当分の間、あなたにはSSSに
出向してもらいます」
「(指を3本立てて) 理由は3つあります」
「1つ。今、SSSではある事件を追っているわ。これは本来ならば、私たち
BHが担当すべき事件です」
「2つ。でも、このような通達がBHにきているのよ」
「この通達のおかげで、私たちBHは動くことができない」
「でも、普通の捜査でこのようなものを用意する理由はどこにもないわ」
「私の勘が、これは何かあると告げている。これが3つ目よ」
「組織では動けないけど、あなた1人なら、私の権限でどうにか出来る」
「SSSで何が起こっているのか、探ってきて頂戴。あなたに任せたわよ」
◆解説2
SSSの刑事部長室で、岡崎一真から捜査について説明を受ける。
説明が終わったら、結末へ。
◆演出2
今キミは、SSS刑事部長室前まで来ている。
なんでも、刑事部長の岡崎一真から捜査の説明があるそうだ。
『イヌ2』は適当なタイミングでシーンに登場すること。
また、演出1を行っていないときは、通達書の件を樫本雄峰の口から
告げること。このとき、誰が宣言したか告げる必要は無い。
刑事部長室に入ると、イスに腰掛け、厳しい目付きをした岡崎警部と、
その後ろに控える樫本警部補が待っている。
岡崎 一真の要請で、樫本 雄峰は刑事を配備済みである。
《制裁》を宣言。
ディック=ニコラウスに15:人脈喪失を与える。
これにより、エミリーのコネを使用不可にする。(連絡を取れなくする)
どのコネを使用不可にしたのかまでは宣言しない。
セリフ2
▼岡崎 一真
「よく来てくれました、『イヌ1』くん」
「早速ですみませんが、事件について説明します」
「先日、SSSの護送車が襲撃され、囚人が1人逃亡しました」
「逃亡した囚人は、ディック=ニコラウスという男です」
「ディックは逃亡するときに、護衛にあたっていた警官4名を殺害した
凶悪犯です」
「そして、今もこのトーキョーN◎VAのどこかに潜伏しています」
「これは由々しき事態です。我々SSSとしては、早期にこの事件を解決に
導く必要があります」
「すでにディックが行きそうな場所には警官を配置しています。
そうですね、樫本くん?」
「あなたたちは、ディックが凶行に及ぶ前に、彼を逮捕して下さい」
「襲撃現場にはSSSの警官が待機しています。何か調べるのであれば、
こちらから話は通しておきますよ」
▼樫本 雄峰
「ええ、すでに配備は完了しています」
◆結末
「説明は以上です。それでは、捜査にあたって下さい。
……相手は凶悪犯です。くれぐれも気をつけて下さい」
岡崎一真警部はメガネの奥から鋭い視線を投げかけ、そう告げた。
◆シーンの目的
- SSSが不審な動きを見せていることを暗喩する。
- 岡崎 一真警部の顔見せを行う。
- ディック=ニコラウスは"凶悪犯"であるという印象を強調する。
●『タタラ』:託されたもの
登場:場所による
演出1は他のキャストの登場不可
◆解説1
演出1は5年前の回想シーンである。
『タタラ』のいる病院に友人の刑事、シエラが担ぎこまれる。
その傷は、どう見ても致命傷である。
なお、この演出では、ある程度規模がある病院(具体的には帝都大病院)を想定している。
シエラから家族のことを託されたら演出2へ。
◆演出1
キミの勤務する病院。
そこは今、さながら戦場のような怒号が飛び交っていた。
急患が運び込まれたのだ。
そして、その急患は、キミの友人でもある刑事のシエラだった。
彼女はある程度話したところで、『タタラ』にボロボロのコートで包まれた
包みを渡す。
包みの中には2丁の銃が入っているが、ここでは多くは語らない。
セリフ1
▼医者A
「緊急手術だ、手術室開けろ、急げ!」
「80……70……患者の脈拍、さらに低下!」
「(頭を振り)ダメだ、この傷ではもう……」
「(『タタラ』に)キミは彼女の知り合いだったな?
せめて、最期を看取ってやってくれ」
▼シエラ=カルティット
「『タタラ』さん……そこにいるの?」
「私、もうダメみたいね」
「自分のことだもの、一番良く分かるの」
「最期に、ちょっとだけ、頼みごとをしてもいいかしら?」
「(包みを渡しながら)私の大切な人……ディックと、あの子のこと」
「私の分まで、見守ってあげて」
「それと、詳しく話す余裕はないけど、それはきっとそのうち必要になる」
「そのときまで、大切に取っておいてね」
「……お願い、ね」
◆解説2
現在のシーン。
ディックが逃亡したことがニュースから流れてくる。
『タタラ』がどうするのか決断したら結末へ。
◆演出2
そして、現在。
あなたは同僚の医者から声をかけられて、正気に戻る。
「『タタラ』さん、どうかしたんですか?ボーっとしちゃって」
ふいにDAKから、5年前、シエラに見守ってほしいと言われた、
ディック=ニコラウスの名前が聞こえてきた。
……それも、随分と深刻な状況で、だ。
セリフ2
▼医者B
「珍しいっすね、『タタラ』さんが物思いに耽るなんて」
「べ、別にバカにしてるわけじゃないっすよ?」
「(ニュースを見て)ホントにブッソーっすねー、『タタラ』さん」
「ん?どうかしたんすか?」
▼DAK(ニュース番組のキャスター)
「……この時間は、『稲垣司政官の業務実態とその真実』の予定
でしたが、番組を変更してお送りします」
「先ほど、シノハラセキュリティサービスの護送車から、囚人が1名
逃亡しました」
「逃亡した囚人、ディック=ニコラウスの行方はようとして知れず、
現在もSSSがその足取りを捜査中です」
「ディック=ニコラウスは逃亡する際に、警官数名を殺害しています」
「SSSでは市民に注意を呼びかけ、発見次第、SSSに連絡するよう
関係各所に通達しております」
◆結末
「『タタラ』さん、今日は暇みたいですし、あとはまかせてくださいよ」
彼は快くキミを送り出してくれた。
キミは白衣を翻し、医局の外へと足を踏み出した。
◆シーンの目的
- シエラから2丁の銃を渡す(これはシナリオのキーアイテムである)
- 『タタラ』がシナリオに絡む理由を作る
リサーチフェイズ
■クライマックスへの条件
ディックに《タイムリー》や、それに類する神業を使用して銃弾を摘出する
ことで、イベント『本当の、真実』が発生し、クライマックスフェイズとなる。
●『イヌ1』:事件現場
条件:リサーチフェイズ最初のシーン
登場:<社会N◎VA、ストリート、警察、メディア><適切なコネ> 10
◆解説
イエローエリアの一角の事件現場。
そこには囚人護送車が見るも無残に大破、横転している。
護送車を調べる場合、リサーチ項目の護送車襲撃事件の項を参照。
◆演出
護送車襲撃現場。
そこには、現場を保存するSSSのイヌと、スクープを狙うトーキーたちが
集まり、かなりの賑わいを見せている。
そして、その中心には横転し、無残な姿を晒す護送車が停車している。
◆セリフ
▼警官A
「『イヌ1』殿ですね?岡崎部長から話は聞いております。
どうぞお通り下さい」
(事件について尋ねた)
「見てもらえれば分かるとおり、護送車は何者かによって襲撃されたので
ありますが、犯人はかなりの手練のようであります」
◆結末
どうやら、ディック=ニコラウスに協力する、共犯がいるのは間違い
なさそうだ。
◆目的
- ディックに"協力者"がいるという、今後の伏線を張っておく。
- 『イヌ1』にシーンを回し、『カブト』に舞台裏の情報収集を回す。
(エミリーについて調べてもらう)
●『カブト』:人質 ―Wild card―
条件:エミリーの経営する喫茶店に向かう
登場:<社会:N◎VA、ストリート><コネ:シエラ> 10
◆解説1
イエローエリアにある、喫茶店。
そこに向かうと、何者かによってエミリーが誘拐されようとしている。
異変に気付けるかどうか、<知覚>の判定を行う。
RLは三合会凶手トループのデータを用いて、<隠密>で対決を行う。
RLが対決に勝利した場合、以下のように処理する。
キャストが店内に入ってきたとき 不意打ちを行う。
ペナルティとして判定に<知覚>を組み合わせなければ、達成値−3。
キャストが店内に入ってこなかったときは、エミリーは誘拐されてしまう。
クライマックスに、ディックが敵ゲストに対して《ファイト!》を使用。
さらに、岡崎のいるエンゲージにエミリーを配置する。
成功の有無に関わらず、店内に入ってきた場合、カット進行となる。
敵は至近距離に三合会凶手トループが25人1グループ。
ただし、店内は灯りが存在しない。「護法」のような装備などを持たない
場合、以下のペナルティが与えられる。
- 判定に<知覚>を組み合わせないと達成値-3
- トループの残り人数不明
- 近距離の位置にエミリーがいることに気がつけない
(<ブランチ:ハッピートリガー>のようなシーン攻撃に巻き込まれる)
カット進行が終わったら、演出2へ。
◆演出1
イエローエリアの一角。
キミがそのアドレスに向かうと、そこには小洒落た喫茶店が佇んでいる。
……だが、今その喫茶店は閑散としている。
窓という窓にはカーテンが降り、入口には準備中の札が下がっている。
そして、なにやら嫌な気配が漂っている。
(<知覚>で判定に勝利)
店の中からは、無数の人の気配が感じられる。
……それも、堅気ではない人種の、だ。
(<知覚>で判定に敗北)
……特にこれといった、異常は感じられない。
不気味なくらいに静かだ。
(不意打ち)
ふいに、キミの背後に凄まじい程の殺気が膨れ上がる!
そして、耳元で何者かが囁く。
「少し、眠っていてもらおうか」
マイナー:ショックバトン→メジャー:<白兵>+<ダーティファイト>+<凶刃>
◆セリフ1
▼三合会凶手
「商売の邪魔だ、失せな」
◆解説2
助けられたエミリーが、『カブト』に護衛をお願いする。
エミリーの処遇を決めたら、結末へ。
なお、誘拐犯から詳しい話を聞く場合、<交渉>の判定が必要となる。
情報項目の「エミリーを誘拐しようとした集団」を参照。
◆演出2
ところどころに、戦いの痕跡の残る店内。
灯りを点けてみると、部屋の隅に少女が縛られ、転がされている。
……どうやら、命に別状は無さそうだ。
◆セリフ2
▼エミリー=カルティット
「あ、その……助けてくれて、ありがとうございます」
「あなたたちは、一体……?」
(『カブト』に)
「護衛の依頼?なんで、私を……?」
「……その人は、あなたに守ってもらうように言っていたんですよね?」
「迷惑じゃなかったら、ご一緒させてもらっても、いいですか?」
("ディーン"について)
「いえ……そのような人に心当たりはないです」
◆結末
「すみません、お世話になります」
そう言って、彼女は頭を下げた。
……さて、これからどうしたものか。
◆目的
- エミリーを守るという『カブト』のモチベレーションを明確にする
- 裏で何者かが糸を引いていることを暗喩する
●『イヌ2』:"凶悪犯"との邂逅
条件:レッドエリアの廃ビルに向かう
登場:<社会:N◎VA、ストリート> 10
◆解説
廃ビルに潜伏しているディックと会う。
ディックは護送時にSSSの部隊に命を狙われている。
そのため、SSSのイヌというものは信じていない。
ここでは、彼からSSSが怪しい動きを見せていることを伝えられる。
5年前の事件について尋ねたときは、イベント「真実 ―truth―」を
参照すること。
◆演出
レッドエリアの、無認可違法建築ビルが立ち並ぶその中に溶け込む
ように、そのビルは佇んでいる。
中に入ると、そこには1人の男が窓枠に腰掛けている。
手首に千切れた手錠をぶら下げた、大柄な体躯の偉丈夫。
彼がディック=ニコラウス。警官殺しの、囚人だ。
◆セリフ
ディック=ニコラウス
「……偶然迷い込んだ、って感じじゃなさそうだな、SSSか?」
「先に断っておくが、俺はお前らに捕まる気はないぜ?」
「……今のSSSは、信用ならないからな」
「逃げきれる限り、逃げさせてもらうさ」
(『カブト』とエミリーが一緒にいるとき)
「……アンタに頼んで、正解だったようだな」
(エミリーに)
「俺は、SSSに捕まるわけにはいかないんだ」
「お前は、その人と一緒にいるんだ、いいな」
▼エミリー=カルティット
「お父さん、一体何があったの?どうしてこんなこと……!」
◆結末
「さて、と。……そろそろ、か」
と、そのとき。何かが目の前に飛び込んでくる。――手榴弾だ!
次の瞬間、眩いほどの閃光が部屋を飲み込む。
真っ白な視界の向こうから、ディックの声が響く。
「……アンタたちも、SSSには気をつけな。
いつか、手酷い目に遭ってからじゃ、遅いぜ?」
――そして、視界が開けると、そこにディックの姿はもうない。
今の間に逃げてしまったようだ。
ディックが《制裁》を宣言。対象は自身、効果は17:逮捕礼状。
シーンから退場。する。
また、直後に樫本雄峰がSSSの部隊を引き連れ突入してくる。
重要!
このシーンのあとに、ディックと会ったり、会話するには<コネ:ディーン>を
使用した、コネ判定に成功する必要がある。
◆目的
- ディックの顔見せを行う
- ディックが逃げたのには何か理由があるのだと暗喩する
- SSSに対して疑念を抱かせる
●『イヌ』:The truth ―真実―
条件:岡崎一真か、ディック=ニコラウスに5年前のことを尋ねる
登場:状況による
◆解説
5年前の事件で起きたことが告げられる。
しかし、この情報は捏造されたウソの情報である。
もし、キャストが《真実》などを使用した場合、キャストに対して
それを打ち消せることを告げて警告する。
それでも使用するならば、舞台裏から、樫本が《プリーズ!》を宣言、
アイーシャの《不可触》を使用する。
このとき、だれが神業を宣言したのかまで、宣言する必要はない。
この《不可蝕》も打ち消した場合、クライマックスフェイズに移行する。
◆演出(ディック)
――あれは、5年前のことだ。
俺たち3人は、ある事件を追っていた。そして、捜査の末、その犯人を
レッドエリアの古ぼけた建物に追い詰めた。
だが、このとき物陰に隠れていたそいつに、シエラが捕まり、人質に
とられちまったんだ。
◆演出(岡崎)
――あれは、5年前のことです。
私たち3人は、ある事件を追っていました。そして、綿密な捜査の末、
容疑者をレッドエリアにある朽ちた建物まで追い込みました。
ですが、このとき暗がりに潜んでいた容疑者に、シエラが捕らえられて
しまったのです。
◆演出(共通)
「このオンナの命がおしけりゃ、その銃をさっさと捨てろォッ!」
「……仕方ない、ですね」
そう言い、岡崎の小銃が床に転がる。
「おい、そこのオマエ!さっさとその銃を捨てろっていってんだろぉが!」
「クッ……!」
「……このヤロォ、なら、目にもの見せてやんヨッ!」
「や、やめろおぉ!」
無数の銃声が、辺りに響き渡る。
そして、崩れ落ちる人影が――2つ。
「そ、そんな……!俺のせいだ、俺のせいでシエラは……!」
「お、おい待て、ディック、早まるな!」
再び、辺りに銃声が響き渡り、そして――。
◆結末(ディック)
「――これが、5年前に俺が犯した罪だ。言い訳するつもりもねえよ」
このあとの演出に関しては、イベント「"凶悪犯"との邂逅」を参照。
◆結末(岡崎)
「――これが、5年前に私がとめる事ができなかった、事実ですよ」
と、ここまで話したところで岡崎は席を立ち、窓の外を眺め、呟く。
「――少し、1人になりたい。すまないが、退席してくれるかい?」
キャストに退場するように促すこと。
◆目的
- キャストに5年前に起きた事件について告げる
- 事件の犯人たるのはディックか、岡崎しかいないことを暗喩する
●『−』:"共犯者"
条件:アイーシャと三合会のつながりが露見する
登場:場所による
◆解説
アイーシャの手によって、"凶悪犯"ディック=ニコラウスの逃亡を
手引きした、"共犯者"に仕立て上げられる。
アイーシャが《制裁》を宣言。
効果は21:有罪。
護送車襲撃犯に仕立て上げられる。
◆演出
突然、あなたのポケットロンが呼び出しを告げる。
「なにやら、余計なことを調べてるみたいじゃないか」
受話口の向こうからは、随分と低い声音の、女性の声が聞こえてくる。
通話が切れると同時。
キミのすぐ脇に、数名の男が寄ってくる。
男たちは、懐からSSSの社章が刻まれた手帳を掲げ、告げる。
「我々はSSSです。(キャストの名前)さん、あなたを護送車襲撃事件の
実行犯として、逮捕します」
◆セリフ
▼匿名の通話(アイーシャ=ベルモット)
「なんのためにやってんだか知んないけど、とっとと尻尾を巻いて
逃げるのが、賢いやり方だと思うよ」
「……まあ、もう遅いけど、ね」
「せいぜい、足掻いて見せな。握り潰されるまでの、短い間をね」
▼SSS警官(エキストラ)
「抵抗するなら、射殺も許可されています。
おとなしくしてもらいましょうか」
(キャストが逃亡した)
「貴様、待て!……くそ、逃がすな!
おい、樫本警部補に連絡、ただちに部隊を回してもらえ!」
◆結末
追う側から、追われる側へ。キミの立ち場は、一瞬にして、一変した。
キミは追いすがるSSSの警官を振り切り、N◎VAの闇へと駆けていった。
◆目的
- アイーシャが事件の黒幕の1人であると、明確にする
- 『イヌ2』の《制裁》の使いどころを用意する
●社会戦シーン:SSSの刃
条件:病院への圧力と、岡崎とアイーシャの繋がりが露見した
登場:全員登場
◆解説
岡崎一真がSSSを動員し、『イヌ1』(もしくは『イヌ2』)を捕らえようとする。
社会攻撃を仕掛ける。
なお、RLが必要ないと思ったならば、このシーンは省略しても良い。
組み合わせなどは、岡崎一真のデータを参照。
なお、岡崎は報酬点を8点所持しているが、基本的には防御に用いる。
◆結末
かつてのSSSにはない、錬度と、気迫。
その牙は、キミ達に向けて振り下ろされようとしていた。
◆目的
- 看破によって、岡崎が黒幕であることを露見させる
- 岡崎によって鍛えられたSSSの力を見せる
●『タタラ』:The true truth―本当の、真実―
条件:ディックに対して《タイムリー》などを使用し、銃弾を摘出
登場:状況による
◆解説
ディックの心臓付近に残っていた弾丸を摘出する。
そして、その弾丸を見てディックの過去の記憶が蘇る。
◆演出1
――その手術は2秒で終わった。残ったのは、摘出された1発の弾丸。
銀色に輝く、1発の、弾丸。
ディックがその銃弾を見ると、頭を抱えて低く呻き、告げる。
隠された、本当の、真実を。
◆セリフ1
「――手術は終わったのか、先生?」
(銃弾を見て)「これは、岡崎の銃の弾丸?何故、これが――」
「……!!そうだ、そうだったんだ……!全て、思い出した……!」
◆演出2
レッドエリアの古ぼけた建物。犯人に対峙するディックと岡崎。
錯乱する男。人質となったシエラ。ここまでは、全て同じだった。
そう、ここまでは。
「このオンナの命がおしけりゃ、その銃をさっさと捨てろォッ!」
「分かった、銃を捨てる。だから、シエラには、手を出すな」
そう言い、ディックが銃を高々と放り投げる。宙に注がれる、男の視線。
そのとき、ディックがすばやく距離を詰め、男の銃を掴む。
「なっ、てめぇ、何しやがる!離せ!」
男は振りほどこうと、激しく抵抗する。そしてディックは、後ろに控える
相棒に檄を飛ばす。
「一真!頼む、援護してくれ!」
頼りにしていた相棒の方を見る。
だが、そこにあったのは、銃口を突きつける岡崎の姿。
「……一真?」
「ディック、シエラ。……2人とも、すまない」
岡崎が《不可知》を宣言。
周囲に無数の銃声が響き――ディックの視界が暗転する。
ディックの、おぼろげな意識に、声だけが響き渡る。
「巡査長さんよ、成果はどうなんだい?」
「今確認するところです。……彼はまだ、息があるようですね」
ディックが《黄泉還り》を宣言。
「ハッ、随分しぶとい男だね、この人も。さすが、アンタのバディさね」
「……彼を裏切った私に、その資格はないよ」
そう言い、銃を構える――が。
すぐそこまで、サイレンの音が迫っていた。
「どうやら、増援が到着したようだ。アイーシャ、あとはまかせたよ」
「ハッ、証拠の1つや2つ、握りつぶすのは容易いことさ」
そう言い、何かのクスリを、ディックに注射する。
《不可触》を宣言。
そして、ディックの意識は闇へ沈んでいく……。
◆結末
「――これが、本当の、真実ってやつかよ、クソ……」
そう言い、ディックは顔を手で覆い隠す。
その手の指の隙間から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
クライマックスフェイズへ。
◆目的
- 5年前の事件の真実を明らかにする
- クライマックスへのモチベレーションを高める
クライマックスフェイズ
●―Their Belief―
登場:キャストは自動登場
◆解説1
ディックが事件の真相を語り終えたところに、岡崎が現れる。
岡崎は『イヌ』に職務に戻るように命令する。
『イヌ』が命令に従わないのならば、演出2へ。
◆演出1
「ふぅ。まったく、優秀すぎるというのは、本当に困りものですね」
そう呟き、キミたちの背後から規則正しい足音が近づいてくる。
「あなたも、そう思いませんか?『イヌ1』くん。それに、ディック」
そこに立つ人物。それは、SSS刑事部部長、岡崎一真その人だ。
◆セリフ1
▼ディック
(岡崎に)
「何故だ、何故、俺たちを撃ったんだ!俺たちは、バディじゃなかったのか!?」
▼岡崎一真
(ディックに)
「5年前のことも、あなたたちが優秀だったからいけないんですよ」
「あなたたちは自分が頑張れば、SSSは変わると言ってましたね。
ですが、それは違う」
「所詮1人2人が頑張った程度では、組織は変わらない」
「だから、私には力が必要だった。地位という、力がね」
「障害は、取り除く必要がある。ただそれだけのことです」
(『イヌ1』に)
「『イヌ1』くん。私がキミに与えた任務は、凶悪犯ディック=ニコラウスを
逮捕すること」
「今回の件は不問とします。だから、その男を捕らえなさい」
◆解説2
岡崎がディックに《制裁》を宣言。
その後、"共犯者"である『イヌ』、及びその仲間を捕らえるためにSSSの
部隊が突入する。カット進行へ。
敵は岡崎とアイーシャが近距離で1エンゲージ。
イヌトループ20人×1と樫本が中距離で1エンゲージ。
カブトワリトループ20人×1が超遠距離で1エンゲージ。
イヌトループと、樫本雄峰は岡崎からは真相は伝えられていない。
だが、真実を知れば、彼らは本来取るべき正しい行動にでる。
《暴露》や《制裁》などの神業で、岡崎の罪を証明した場合、彼らは
カット進行には参加しない。
◆演出2
岡崎は『イヌ』の答えを聞くと、とても残念そうな顔をして、頭を振る。
「……ふぅ。あなたも大概、優秀に過ぎるようですね」
岡崎は右手をスッと掲げる。
その眼は、命を簡単に切り捨てる殺し屋のような冷たい眼をしている。
ペルソナをカゲに変更する。
「……残念ですよ。まさかまた、5年前のことを再現することになるとは」
そういい、掲げられた右手が振り下ろされると同時、無数の銃弾が殺到する!
《制裁》を宣言。対象はディック=ニコラウス。効果は19:暗殺。
さらにここで、ブランチ:グリムリーパーを使用。
山札のダメージカードをジョーカーとし、肉体戦ダメージ16:斬首を与える。
これは、通常通りの必殺神業として扱う。よって、このダメージは
《難攻不落》で防ぐことができるものとする。
防がれた場合、天井を突き破り、岡崎の脇に1人の女性が降り立つ。
挑発的な笑みを浮かべ、岡崎の前に立ちふさがる女性が、アイーシャ=ベルモットだ。
さらに、樫本がSSSの部隊を率いて突入してくる。
◆台詞2
▼岡崎一真
「Good bye, baddy. 空の彼方で、シエラが待っていますよ」
(《制裁》が防がれた)
「……ふぅ、やれやれ。こうなった以上は、やるしかありませんか」
(倒された)
「……これだから、優秀な人は、嫌いなんですよ」
▼アイーシャ
「ハッ、どうやら結構デキる相手みたいじゃないか。楽しめそうだ!」
「アタシの手で、何もかも全て握りつぶしてやるよ!」
(倒された)
「貫かれた、だって……?この、アタシの手が……」
▼樫本雄峰
「凶悪犯、ディック=ニコラウスを捕らえるんだ!行けぇ!」
(岡崎の罪が証明された)
「……それは、本当なんですね?」
「……それが事実かどうか、この目で見極めさせてもらいます」
▼イヌトループ
「FREEZE、SSSだ!お前たちは完全に包囲されているぞ!」
▼カブトワリトループ
「(スコープ越しに)ちっ……しくじったか。次は外さん」
◆結末
「……私は、SSSを最高の組織にしようとしただけだ。
一体、それの何が悪かったというのです……」
そう呟いて、岡崎は目を閉じる。
かつて、最高の相棒と呼ばれた彼らの道が、交わることはもう、
二度とないのだ――。
◆目的
- 事件の首謀者と対決する。
- 5年前の事件に決着をつける。
エンディングフェイズ
アクトの展開は千差万別である。
以下にエンディングの演出の一例を挙げるが、そのまま使ったり
しないで、適時必要に応じて演出を変えて使用すること。
●『カブト』:笑顔という報酬
◆解説
あれから数日後。
エミリーからディックの件でお礼を言われる。
なお、この演出はディックが生存している前提で書かれている。
◆演出
イエローエリアに佇む、エミリーの喫茶店。
カウンター席に腰かけるキミの前では、コーヒーの注がれたカップが
温かな湯気を立てている。
◆セリフ
▼エミリー=カルティット
「うちの店自慢のコーヒーです。温かいうちにどうぞ」
「『カブト』さん、お父さんを助けてくれて、ありがとうございます」
「……私も、1人になるのは、嫌だったから」
「本当に、ありがとう。『カブト』さん」
◆結末
「たまには顔を見せて下さいね。そのときには、もっとおいしいコーヒーを
出してあげますから」
そう言って、彼女はとびっきりの笑顔を見せる。
それは、あなたにとって最高の報酬だった。
●『タタラ』:果たされた約束
◆解説
『タタラ』の病院に入院したディックから、岡崎のことで相談される。
彼は岡崎と仲違いすることになった考えの相違で悩んでいる。
……この問題に、正しいも正しくないもない。
キミの考えを告げてやるのがいいだろう。それでディックは満足する。
◆演出
キミが病室を訪れると、ディック=ニコラウスがベッドから身を起こし、
タバコを燻らせている。
「よお、先生。……もしかして、ここ、禁煙だったりするか?」
どうやら、そんな見当違いな言葉を投げかける程度には、元気なようだ。
だがそんな彼の表情には、時折苦悩のようなものが見え隠れしている。
◆セリフ
▼ディック=ニコラウス
「アンタ、凄い名医なんだな。おかげさまで、この通りさ」
「……なあ、俺の考えは、間違ってたのか?」
「正直、俺には岡崎が何考えてたのか、わかんねえよ」
「何が悪くて、それぞれ道を違える事になったのか、なんてよ」
(『タタラ』がそれに答えた)
「……そういう、ものなのかもしんねえな。
……ありがとよ、少し気分が楽になったぜ」
(『タタラ』が言葉に詰まったとき)
「……っと、すまねえな。こんな辛気臭え話しちまってよ。
まったく、俺らしくもねえぜ」
◆結末
「ま、もうしばらくの間、お世話になるぜ、先生」
そういって次のタバコを取り出すディック。
5年前、友人と交わした約束は、これで果たされたのだろうか。
……その答えは、すでにキミの中にあるはずだ。
●『イヌ2』:SSSの進むべき道
◆解説
事件を片付けた『イヌ2』の元に、樫本雄峰がやってくる。
彼は、『イヌ2』に自分の行動を詫び、これからもSSSでやっていかないか
と誘ってくる。
これにどう答えるのかは、『イヌ2』の自由だ。
◆演出
キミが事件を片付け終えると同時、キミの前に1人の男が現れる。
……樫本雄峰だ。
なお、ここでは樫本は戦闘に参加しなかった前提で書かれている。
◆セリフ
▼樫本雄峰
「こんにちは、『イヌ2』さん。調子はどうですか?」
「今回は、SSSが迷惑をおかけしました。すみません」
「ディックさんについては、退院と同時に、釈放ということになると
思います」
「これもあなたや、『イヌ1』さんたちの活躍があってこそですよ」
「僕は、本来取るべき正しい行いを、取ることができませんでしたから」
「……SSSに来るつもりは、ありませんか?」
「あなたくらい優秀な刑事がいたら、SSSのためにもなると思うんです」
(申し出を断った)
「……そうですか、残念ですね。だったらせめて、もしもまた捜査に
行き詰まるようなことがあったら、協力してくれますか?」
(申し出を受けた)
「ありがとうございます、でも、気持ちだけ受け取っておきます。
あなたは今の組織の方が、力を発揮できるでしょうから」
◆結末
「さて、僕はこれで失礼します。また、会う日を楽しみにしてます」
そう言い残して、彼はN◎VAの、犯罪の街、N◎VAの街並みへと
戻っていった。
●『イヌ1』:法の番人
◆解説
『イヌ1』が事件を終えてオフィスに戻ると、すぐに新たな通報が入る。
そして、『イヌ1』にも出動命令が下る。
◆演出
あれから数日。
キミが事件の捜査を終え、オフィスに戻って来た。
そして、ほんのひとときの休息を味わっていると、オペレーターの声が
オフィスに響き渡る。
◆セリフ
▼オペレーターA
「アサクサ地区、イエローエリアの銀行で強盗事件発生です!」
「犯人はアーマーギアに身を包み、機関銃で武装しています」
「民間人に被害が出る前に、現場に急行して下さい」
▼警官A
「事件だ!急いで現場に向かうぞ!」
「『イヌ1』、お前もついて来てくれ!」
◆結末
キミは新たな事件を解決するため、現場に急行した。
法の番人たるイヌがいる限り、犯罪者たちに安息が訪れはしない。
決して。